リノベーションをしてみたいけれど、どの会社に依頼すればいいのか迷っている人は少なくありません。決して小さな買い物ではないからこそ、慎重な会社選びが大切です。
この記事では、リノベーション会社の種類や、選定に役立つポイントをご紹介します。迷った際はぜひ参考にしてください。
リノベーションとリフォームの違い
そもそも、リノベーションとリフォームの違いとは何なのでしょうか。英語の語義をたどると、リフォーム(Reform)は「改良、改善」という意味があります。一方でリノベーション(Renovation)は「革新、刷新」という意味が含まれる言葉です。
リフォームは建物の修繕そのものを行う際に用いられやすく、リノベーションは付加価値や新機能が追加される施工に用いられやすい傾向があります。
リノベーションを得意とする会社は、単に建物の設備を取り換えるのではなく、設計や生活デザインを考慮した施工ができる可能性が高いです。
家屋の修繕をすることでよりよい暮らしを送りたい人や、生活環境の変化に合わせて自宅の改装を考えている人は、リフォーム会社よりリノベーション会社のほうが適しているといえるでしょう。
リノベーション会社を選ぶポイント
数あるリノベーション会社のなかから自分に合った会社を見つけるためには、譲れない条件や求めているリノベーションのイメージなどをもとに、自分なりの選定基準を定める必要があります。
いくら複数の会社の情報や口コミ評価をチェックしたとしても、比較する基準がなければ「どこの会社もよさそうで迷ってしまう」という状態に陥ってしまいます。
ここでは、会社選びの基準となる6つのポイントを紹介します。自分にとって譲れない条件は何か、それぞれのポイントを考えながら選定基準を定めてみましょう。なお、見落としやすいポイントもあわせて紹介します。
①自社施工の可否
リノベーション会社は、相談から施工までワンストップで対応できる会社と、デザインや施工は別の業者に外注している会社があります。
自社施工ができる会社はリノベーションに関わる人員が少なく済むため、比較的費用を抑えられるほか、細かな要望が伝わりやすくなる可能性があります。
しかし、自社施工ができない会社だからといってデメリットばかりが目立つわけではありません。優秀な専門業者に外注し、分業しているからこそ安定したサービスを提供できるリノベーション会社もあります。
②施工実績
自社施工の可否に加えてチェックしておきたいポイントが、施工実績です。リノベーション会社によって得意とする工事内容は異なるため、自分が希望する施工をしてもらえるか必ず実績を確認しましょう。
利便性が高まる工事を得意とするのか、先進的なデザインを取り入れた設計が得意なのか、実績の傾向を掴むと会社それぞれの個性が見えてきます。
たとえ自社施工ができる会社であっても、自分が思い描いているリノベーションを実現できなければ満足感は得られません。たとえば、キッチンのリノベーションを、リビングのリノベーション実績だけが豊富な会社に依頼しても、期待した結果は得られない可能性があります。
実際にどのようなリノベーションができるのか、掲載写真や見学会を確認しつつ、希望に添った施工ができそうなリノベーション会社を絞っていきましょう。
自社施工をしていないリノベーション会社でも、実績が豊富な会社は信用できる可能性が高いです。施工実績が豊富な会社にはリノベーションのノウハウが蓄積しているため、自分では思いもよらなかったアイデアを提案してくれたり、やってみたいことを汲み取って適切なプランを組み立ててくれたりする可能性があります。
③担当者との相性
リノベーションの内容や実績とともに重視されやすいポイントは、担当者との相性です。担当者とのコミュニケーションによって施工内容を決定していくため、相性の悪い担当者に当たってしまうと、ストレスが溜まったり自分の要望が通らなかったりする可能性もあります。
会社そのものの評判がよくても、個別の対応に不満が出てしまうと意味がありません。担当者との相性はリノベーションに限らず、施工の仕上がりや満足度に大きく関わるため、重要なポイントです。
会社選びの段階で相性がいい担当者を見つけられれば、いざ工事が始まる段階になったときにミスマッチが起きにくくなるでしょう。
また、リノベーションの内容によってはかなりの長期間にわたって担当者とやり取りを交わすことになります。ひとつひとつは短い時間かもしれませんが、打ち合わせをストレスなく終わらせ、納得のいく施工をしてもらうには、信頼できる担当者にお願いすることが必要不可欠です。
④物件探しの対応
中古物件をリノベーションして長期間住む予定ならば、物件探しを一緒にしてくれるかどうかも重要です。物件は自分で選びたいのか、プロの目利きに頼ってリノベーションする家を決定したいのかによって会社の探し方が大きく異なります。
物件探しを手伝ってくれるリノベーション会社のメリットは、リノベーションできる部分とリノベーションできない部分の見極める精度が高いことです。自分で選んだ物件をリノベーションしてもらえても、建物の構造上あまり大きな変化をもたせられないというケースもあります。
どこをどうやって改修するのか、しっかりとしたビジョンが欲しい人は物件探しから依頼できる会社を選ぶとリスクを軽減できるでしょう。
⑤保証・サポート内容
会社ごとの保証やサポート内容も比較することで選びやすくなります。品質に問題があったときや、会社に不備が発生したときなど、もしものときに保証してくれる精度があるかどうかチェックしましょう。
ただし、保証があるだけではなく、保証期間や金額など数字に遜色がないかを確認することも大切です。せっかくサポートを受けられると思っていても、対象期間が短かったり十分な保証金が支払われなかったりするようであれば、のちに後悔してしまいます。
ちなみに、アフターフォローが充実している会社は施工そのもののクオリティにも十分な注意を払っている傾向があります。アフターフォロー期間中に不備が見つかると、追加サービスが増えてしまうため会社としては損失が大きくなります。
手厚い保証を用意しているということは、それだけ施工に自信がある証拠と言えます。
⑥コスト管理
納得のいくクオリティでリノベーションをしてもらうには、それなりのお金が必要となります。会社ごとにターゲット層が異なるため、高級志向の会社に依頼するのか、コスパ重視の会社に依頼するのかを決めてから会社を選ぶとスムーズです。
ただし、あまりに施工費用が安い会社はサービス内容が悪質な可能性があります。また、あまりに高額すぎる施工費用を提示された場合も注意する必要があるでしょう。
どのような価格帯でのリノベーションを検討する場合も、必ず複数会社の見積もりを取ると安心です。
また、提示した予算内でリノベーションを実施してくれるかどうかも見極めましょう。大がかりな工事になればなるほど、追加費用が発生することがあります。しかし、あらかじめ予算を提示しているのに工事費用がかさんでしまっては本末転倒です。
信頼できる担当者であれば予算内でどのような工事ができるのか、しっかりと提案してくれます。なかには工事費が予算以上の提案をされてしまう場合もあるため、顧客の要望を第一に誠実なプランニングをしてくれる会社を探すことも大切です。
規模から見るリノベーション会社の種類
リノベーション会社の選び方が見えてきたところで、どのようなリノベーション会社があるのかをご紹介します。それぞれの事業形態によってメリットやデメリットがあるため、自分にとって大事な条件にそって確認してみてください。
全国展開・大手企業
全国展開している有名チェーンや大手企業と呼ばれる会社のなかには、リノベーション事業も展開している場合があります。リノベーションを専門とした全国チェーンもありますが、ゼネコンやハウスメーカーが母体となっているケースが主流です。
大手企業のメリットとしては、実績の多さが挙げられます。全国的に知名度が高い分、リノベーションを依頼する顧客の量も多く、知識やノウハウも豊富です。
また、会社の信用を高めるために、手厚いサポートを用意している場合もめずらしくありません。全国各地に事業所やモデルルームがあるので、遠方から引っ越す予定がある場合も比較的スムーズに対応してもらいやすいでしょう。
デメリットは、仲介業者が多いことです。大手企業の場合、基本的には施工まで一括で担当することはありません。提携している業者に工事を依頼するため、打ち合わせや納品に時間がかかったり、利用者の声が届きにくかったりします。
また、マージンや広告費もかかるため、小規模なリノベーション会社と比べてコストが高くなる傾向があります。
地域密着型の中小企業
対応地域を限定した地元の工務店などがリノベーションを行っている場合もあります。大手企業のように包括的なサービスを行うのではなく、地域の人々の要望にあわせたサービスを提供してくれます。
地域密着型リノベーション会社のメリットは、綿密なコミュニケーションを取りやすいことです。会社自体が小規模な分、フットワークが軽く顧客との距離が近くなります。
土地の歴史や災害事情、顧客の傾向など、特定の地域で長く営業を続けている工務店ならではのノウハウが蓄積していることもあるでしょう。画一的になりやすい大手企業のリノベーションより、地元らしい施工を望む人は一考の価値があります。
一方で、サービス範囲が狭い点はデメリットです。大手企業の場合は手厚いサポートや保証が完備されているケースが多いですが、小規模なリノベーション会社はサポート内容にばらつきがあります。
しっかりサポート内容をチェックしていないと、不備があったときに十分な補償を受けられない可能性もあります。
また、リノベーション工事のみに対応しているケースもあるため、直接の工事とは関係のない資金繰りや物件選びなども含めたトータルサポートが欲しい人には物足りなさを感じやすいです。
業務内容から見るリノベーション会社の種類
リノベーション会社と名乗っている会社のなかには複数の経営スタイルが含まれています。そもそもリノベーションには「デザイン」「施工」「売買」という3つのステップがあるため、どのステップが得意な会社なのか知っておくと良いでしょう。
一括管理している会社
相談から施工、引き渡しまで、ワンストップで対応しているリノベーション会社では、デザインの受付のみ対応している会社や代理店などと比べると、包括的なサービスを提供している点が強みです。
どの過程でも同じ担当者に相談できるので、打ち合わせを重ねるのが面倒な人や、細かく、そしてしっかり相談したい人も安心できます。自社で職人を抱えていることから安定したクオリティも期待できるでしょう。
一括管理できる会社は、大手企業に限りません。エリアを限定して展開しているローカルチェーンや中規模の工務店など、規模が大きすぎないからこそ細やかなサービスを売りにしている会社もあります。ワンストップ対応に魅力を感じる人は、こうした中規模な企業にも目を向けてみましょう。
デザインまたは施工に特化した会社
リノベーションにおける「デザイン」「施工」のいずれかに特化している会社です。担当者とダイレクトに意見を交換できるため、自分のアイデアを反映しやすいというメリットがあります。
地域密着型の小規模なリノベーション会社は、デザインや施工に特化している場合が多いです。また、全国展開の大手企業から施工業務を受託しつつ、自社でも直接リノベーション依頼を受け付けていることもあります。
現場主義の人と直接語り合いたい人は、特化型の会社に相談するといいでしょう。
リノベーション済み物件を販売する会社
リノベーション会社のなかには、すでに工事が終わった物件を販売している会社もあります。デザインを自由に選ぶことはできませんが、実際に仕上がった物件の様子を確認できる点がメリットです。
自分の条件にあうリノベーション済み物件を見つけられれば、何もないところからリノベーションを施工するより大幅にコストカットできるうえ、工期を気にせずスムーズに入居できます。
ただし、見た目がきれいだからといって内部構造が古いままの建物は、いずれ支障をきたしてしまう可能性があります。物件自体の情報も確認し、見極める必要があります。
優良な販売会社を見つけるためには、いちからデザインしてくれるリノベーション会社と同様に「施工実績」「保証内容」「コスト管理」などの項目もあわせて確認しておきましょう。
リノベーション会社の探し方
ここからは、さまざまなリノベーション会社の情報を得たい人向けに情報収集のコツをご紹介します。会社探しで気をつけるべきポイントは2つです。
リフォームのポータルサイトも利用する
リフォームとリノベーションの違いについて前述しましたが、実際のところ両者の境界はあいまいです。
できる限り多くの会社について情報収集したい人は、名称だけにこだわらずリフォームとリノベーション両方のポータルサイトで検索してみましょう。リフォーム会社でありながら、リノベーション的な施工を得意とするケースも少なくありません。
また、大手企業の情報をチェックする場合、リフォームを中心としたポータルサイトを検索するほうが効率よく情報収集できることもあります。
リノベーションについて明記されていなくとも、問い合わせてみれば対応してくれる会社もあるため、特定の企業や大手での施工を希望する場合は、直接確認しておくと安心です。
経験者の声を聞く
膨大な情報を集めていると、自分がどんな情報を求めていたのかわからなくなってしまうこともあります。困ったときは実際にリノベーションをした経験のある人の意見や体験談を聞いてみましょう。
身近な人がリノベーションを経験しているのであれば、自分の内情に寄り添ったエピソードを話してくれる可能性が高まるうえ、利用者目線での感想が聞けます。疑問点や心配事の共有も簡単です。
もし身近な人に相談することが難しければ、ネット上にもSNSに投稿された情報や口コミ評価など、リアルな声を反映した情報を見ることもできます。
共感できるポイントを分析することで、自分では思いつかなかった視点からの情報が得られることもあります。施工実績を確認するときは会社側のコメントだけでなく、こうした利用者側のコメントもわかると、よりよい会社選びができるでしょう。
まとめ
世の中にはたくさんのリノベーション会社がありますが、それぞれが違ったスタイルで顧客のニーズに応えるサービスを提供しています。
自分のニーズが何なのか、譲れないポイントはどこにあるのかを明確にすると、会社選びをスムーズに進められます。
そして、情報収集だけではなく、実際の担当者や会社との相性も大切です。リノベーションについてわからないことがあれば、直接それぞれの会社に問い合わせ、対応の違いを比較するのもいいでしょう。