中古マンションを購入してリノベーションすることは、個性的でコストパフォーマンスに優れたマイホームを実現するための賢い選択です。この記事では、人気の理由と、失敗しない物件の選び方、リノベーションの流れとタイミングの最適化方法について解説します。
リノベーションに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
中古マンションリノベーションの魅力と人気の理由
中古マンションのリノベーションが人気の理由にはいくつかあります。ここでは、中古マンションリノベーションの魅力を紹介します。
コストパフォーマンスが高い
新築マンションと比べ、中古マンションリノベーションの最大の魅力はコストパフォーマンスです。新築の場合、価格には高額な販売経費や利益が含まれていますが、中古物件ならばこれらが削減され、さらに価値の減少が見込まれる築年数を超えた物件を選べば、資産価値の目減りも少なく抑えられます。
そのため、新築マンションよりも全体的なコストを抑えることが可能になります。
好立地なところに住める可能性が高まる
生活するうえで立地も気になるポイントのひとつです。中古マンションはすでに開発が進んでいるエリアに建築されていることも多く、交通の便がよいところや周辺施設も揃っている場所も多いです。
そのため、新築マンションよりもより好条件な物件を見つけることが可能になります。好立地な物件であれば、将来の資産価値も高まるでしょう。
注文住宅のような住まいの設計が可能
中古マンションリノベーションは、自分のライフスタイルや家族構成に合わせたカスタマイズが可能であり、理想の住空間を実現するための自由度が高いことも、多くの人にとって大きな魅力です。さらに、中古マンションリノベーションは、個々のニーズに合わせた細やかな設計が行えるため、一人一人の理想に近づけられます。
たとえば、開放的なリビングダイニングを望む家族には、壁を取り払い広い空間を作れ、趣味のスペースを確保したい場合には、専用の部屋を設けることもできます。またキッチンやお風呂の水回りなどの設備においても最新のものを導入することも可能です。
中古マンションを購入してからのリノベーションは、新築時にはできないほどの自由な空間作りを実現できるため、多くの人々に選ばれています。個性やこだわりを反映させた家づくりをしたい方にとって、満足度の高い家づくりとなるでしょう。
環境にやさしい
中古物件のリノベーションには、環境に優しい側面もあります。新しい建材を使用するよりも、既存の資材を再利用したり、必要最小限の変更に留めたりすることで、資源の消費を抑えられるからです。
経済的なメリットと共に、サステナビリティの観点からも中古マンションリノベーションは高く評価されています。そのため、中古物件のリノベーションは持続可能な住まいを実現することができます。
物件購入時の重要なチェックポイント
物件購入時の重要なチェックポイントは、物件購入時に重要視すべき要素です。以下にそれぞれの点を詳細に解説します。
築年数
新築マンションは、誰かが購入した瞬間から中古マンションになり、その時点で資産価値は購入金額より一般的に2割ほど下がってしまうと言われています。物件ごとには異なりますが、その後5年、10年と下がり続けていき、築25年を超えると価値の減少が安定します。
そのため、長期的な投資として考えるならば築25年を目安にします。この期間を過ぎると、価格が下がりにくく、購入後の価値の維持が期待できます。
中古マンションを検討するときには、価格が下がりにくくなる築25年の物件を購入することがおすすめです。
耐震強度
日本は地震大国であるため、耐震強度は必ずチェックするポイントです。1981年の建築基準法改正前後で耐震基準が異なります。
新耐震基準は、「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7程度の大規模地震でも倒壊は免れる」強さとすることが義務づけられました。そのため、新耐震基準の物件、または耐震診断済みで安全が確認された物件を選ぶことが重要です。
大規模地震が発生した場合の安全性を確保するため、不可欠なチェックポイントです。
リフォームの状態
リフォーム済み物件も良い選択肢ですが、自分でカスタマイズする予定ならば未リフォームの物件がコストを抑えられます。リフォーム済みの場合、すでにある程度のコストが投じられているため、それに見合う価値があるかどうかを判断する必要があります。
またもともとの物件価格には、事前にリフォームした工事費用分が上乗せされて販売されていることも多いです。そのため、適正価格よりも高い物件価格となってしまいます。
リノベーション前提で中古物件を探している場合には、リフォーム済みなのか、リフォームされていない物件なのかをしっかりと確認し、リフォームされていない物件を探すとよいでしょう。
適正価格の確認
市場価格を調査し、適正価格かどうかを見極めることが大切です。とくに中古物件の場合には、相場は比較的明確となっています。
中には、売主さんの希望で相場よりも高く販売されていることや、逆に相場よりも明らかに安い物件も存在します。安い物件は、投資用の物件となっており、住むことができない場合や土地の持ち分がない借地権の物件など、何らかの理由が潜んでいる場合がほとんどです。
価格が適正であれば、将来的な資産価値の維持または増加も期待できます。そのため、インターネットで同じエリアの同じ条件の物件価格を調査し、相場と価格を比較し、相場に合った中古物件を選ぶことが大切です。
共用部の管理状態
先ほど耐震性についてもお伝えしましたが、マンションの管理状態がしっかりとされているか否かも非常に重要です。必要な時期に必要な修繕を定期的にしっかりと行っているのかを確認する必要があります。
マンションの共用部の管理状態はその後の住みやすさに直結しますので、事前に確認が必要です。管理が行き届いているかどうかは、そのマンションが良好な環境で維持されているかの指標となります。
修繕計画と積立金
マンションには、修繕計画書があります。長期的な品質保持のため、修繕計画と積立金の状況をチェックしましょう。
物件購入前に不動産会社を通じて修繕計画書を入手し、履歴や計画をしっかりと確認しておくことがおすすめです。計画的な修繕がされている物件は、将来的に大きな問題が少なく、安心して居住できます。
また積立金においては、滞納状況をしっかりと確認しておくことが大切です。万が一、売主や管理組合が修繕積立金を滞納している場合、物件購入者に支払い責任が発生してしまうことがあるので注意が必要です。
ほかにもマンションの戸数が少ない物件に関しても一戸の積立金の負担額が多くなってしまうため、そこも中古マンション選びで気にしておくべきポイントとなるでしょう。
リノベーションの可能性
構造上の制限など、希望するリノベーションが可能かどうかを事前に確認することが重要です。建物の構造や既存の設備、規制などが関係しており、事前の確認なしにリノベーションを始めると、計画通りに進まないことがあります。
マンションの構造としては、ラーメン構造と壁式構造の2スタイルあります。ラーメン構造は、柱と梁で建物を支えるため、間に壁のない空間をつくることができます。
そのため、壁のない自由な間取りを希望している方向けの構造となっています。一方、壁式構造は、壁で建物を支える構造となっており、室内に柱や梁がなく、部屋の中はすっきりとした空間になります。
家具を配置しやすい点が特徴となっています。ほかにもデザインにこだわりがあり、梁や天井のコンクリート躯体をそのまま魅せるようなデザインを希望する場合には、マンションの最上階は避けた方がよいでしょう。
ほかにも水回りのリノベーションを希望している場合にも注意が必要です。PSと呼ばれている給排水管が入っているパイプスペースの位置もしっかりと確認し、変更範囲を把握する必要があります。
トイレなどの水回り設備は、床下や壁を通ってPSの給排水管と繋がっています。そのため床下には勾配のための空間が必要となります。
PSから離れれば離れるほど、床は上がり、天井高は低くなります。物件によってこうしたPSの位置なども異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
この点においては特に自己判断は難しいため、リノベーションの専門会社にあらかじめ相談しておくとよいでしょう。
リノベーション後の保証を確保する
中古マンションリノベーションを行ったときに、保証についてもしっかりと確認しておくことが大切です。リノベーション後は、最低2年間の保証がある会社を選ぶことがおすすめです。
とくに会社独自だけの保証ではなく、第三者機関が定めている「R1住宅の適合基準」を満たしている会社を選ぶことで、万が一のときにも安心です。上記のポイントを抑えることで、中古マンション購入時のリスクを減らし、望むリノベーションを成功させる確率を高められます。
それぞれのポイントは、将来の住まいの快適性、安全性、および投資としての価値を左右するため、購入前の慎重な検討が求められます。
リノベーションの流れと最適なタイミング
リノベーションはどのような流れで進めればよいのでしょうか。ここでは、リノベーションの流れと最適なタイミングについて紹介します。
リノベーションは期間に余裕を持って行う
リノベーションは計画的に進めることで、スムーズな移行が可能です。物件の購入から入居までの平均的な期間は4〜6ヶ月です。
リノベーションの設計と施工の段階で、事前に専門家としっかりと計画を練ることが必須です。中古マンションの購入後は、ローンの手続きやリノベーションの設計、工事が必要となるため、予想よりも時間がかかってしまう可能性が高いです。もちろんリノベーションの規模やリノベーション会社によってもかかる期間は異なりますが、購入後のローン手続きや工事のスケジュールを考慮し、入居希望日を逆算して物件探しを始めると良いでしょう。
予算も考慮して決める
中古マンションのリノベーションには、予想外のコストがかかる可能性があります。マンションは物件の購入費用のほかにも毎月の管理費や修繕積立金が必要になります。
もちろんリノベーション費用も別途必要となるため、予算には余裕を持っておいたほうが無難でしょう。将来的な維持費もしっかりと考慮したうえで、中古マンションのリノベーション計画を立てていくことが大切です。
資金計画が不安な方は、フィナンシャルプランナーに相談するのもひとつの方法です。今後のライフプランもしっかりと立てながら、無理のない資金計画を立て、予算やローンの返済計画を行っていくとよいでしょう。
リノベーションの流れ①希望条件書き出し・物件探し
まず、物件を購入する際は、将来のリノベーション計画を念頭に置いて選ぶことが重要です。リノベーションの可能性を左右する構造的制約や法的規制、そして現行のインフラの状態などを詳細に調べ上げ、物件が計画に適しているかを確認する必要があります。
そのためにも自身が譲れないポイントやこだわりたい条件などを明確にしたあと、優先順位を決めて検討することがポイントです。家族のライフスタイルや今後のライフプランに沿った条件を書き出し、希望を明確にしておくことが大切です。
リノベーションの流れ②リノベーション会社探し・プラン設計
次に、専門家とのコンサルテーションを行い、具体的なデザインと機能について話し合います。この段階では、建築家やインテリアデザイナー、さらには構造エンジニアとも連携を取りながら、希望するリノベーションが技術的に可能かつ予算内で実現可能かを検討します。
リノベーション計画が固まったら、施工業者を選定し、工事の見積もりを取ります。施工業者を個人で選定する際には、無料相談会やインターネットなどでの情報収集を行い、サービス内容を見極めていくことが大切です。
とくに無料相談会に参加したときには、自身の希望するリノベーション内容を伝え、予算内で実現可能か否かを確認しておくとより検討しやすくなります。複数社から見積もりをとって比較検討することもよいでしょう。
それぞれの施工業者によって特徴が異なるため、リノベーションで優先したいことを考慮したうえで、自身に合った施工業者を選ぶことが大切です。また不動産会社からの紹介や、リノベーション会社を紹介しているサイトなどを参考にして絞っていくこともよいでしょう。
入居後の保証やアフターフォローにおいてもこの時点で確認しておくことで、満足のいく契約となります。
リノベーションの流れ③見積もり・契約・ローン申し込み
次にコストとスケジュールの両面で合意が形成されたら、契約を結び工事に着手します。住宅購入のための住宅ローンとは別途でリフォームローンを行う場合には、このタイミングで申し込みや契約を行っていきます。
また一般的に工事前には、着手金の支払いが発生します。工事請負契約額の30~40%が一般的な相場と言われているため、あらかじめ資金の用意もしておくことが大切です。
ほかにも工事前には、近隣への挨拶を済ませておくことで、スムーズなリノベーション工事へと進めることができるでしょう。
リノベーションの流れ④工事
工事期間中は定期的に現場を訪れ、進捗状況を確認すると共に、必要に応じて調整を行います。また、この期間は予期せぬトラブルに対応するため、予備の時間や予算を見積もりに含めることが望ましいです。
傷があるときや汚れているとき、図面と異なる箇所があるときなどはしっかりと伝え、物件引き渡しの前に修正を行ってもらいましょう。
リノベーションの流れ⑤検査・引き渡し
最後に、工事が完了したら最終的な検査を受け、すべての設備が適切に機能していることを確認した後、入居の準備に移ります。また引き渡しのときには、保証内容やアフターサービスについてももう一度、確認を行っていきます。
住宅工事の場合、初期不良はないとは言い切れないため、万が一の場合に備えるためにも、双方の認識の違いがないようにしておきましょう。こうした確認の完了後に住宅の引き渡しを行っていきます。
家具の配置やインテリアの設定を行い、新しい家での生活をスタートさせるわけです。
このようにリノベーション会社とは、リノベーションが完了したらそれで終わりではなく、リノベーション後も付き合いは続いていきます。そのため、リノベーション会社選びは重要となるでしょう。
まとめ
中古マンションリノベーションは、賢い資産運用としてだけでなく、理想の住空間を実現するための有効な手段です。物件選びの際には上述のポイントをしっかりとチェックし、計画的にリノベーションを進めることで、後悔のないマイホーム取得が可能です。
リノベーションにより、持続可能な住環境を確保し、ライフスタイルに合わせたカスタマイズが行えます。